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== おはなし ==

ハナちゃん狼 その5

それまでハナちゃんがみていた世界が、ぐるんと一変しました。

教室の半分は、いえ、4分の3の生徒は、動物でした。
ミミちゃんは猿だし、マキちゃんは、りすです。
ゆうちゃんなんて、あれまあ、カエルではありませんか。

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勝三郎は?
ハナちゃんは、動物園みたいな教室のなかを目でさがしました。

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なーんだ。
KATくんは、犬でした。
スマートでかっこいい犬だけど、あたしなんか狼だもんね。
ハナちゃんは、勝ったと思いました。

校内を見回ると、人間のままの子もちらほら居るのですが、なんとまあこの学校、真実の眼鏡を通すと、大半は、動物でいっぱいじゃあありませんか。

美人のイノウエ先生はと見ると、白い大きな猫でした。

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みんな小動物ばっかりで、狼は、ハナちゃんだけです。
なーんだ、今まで、こんなやつらに、認められたくって一生懸命になってたなんて。
ハナちゃんの胸に、狼としての誇りが、ふつふつと、湧き上がってきました。

でも、これでは、ハナちゃんが変身しても、誰も驚かないのは、当たり前かもしれません。


学校が終わると、ハナちゃんはモモイロ神社に行きました。
誰もいない場所に、しばらくいたかったのです。

しばらくすると、うさぎがあらわれました。
うさぎは、ハナちゃんをみると、にまにまっと、笑いました。
「どう、真実の味は。人間なんて、ほとんど残ってないんだよ、このあたり」

ハナちゃんは、眼鏡をうさぎに返しました。
「あら、もういいの?おうちの人たちも、みてみたくないかい、この眼鏡で」

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ハナちゃんは、首をふりました。
そんなこと、もうどっちでもいい気がしたのです。
「そうそう、所詮同じことなんだよ、人間でも、動物でもね。だいたい、誰も、気にしてやしなかっただろ」
うさぎは上機嫌でした。
「でも、どうしてもっていうなら、あんただけは、もとにもどしてあげても、いいかなって、思うんだよ。
あたしはさ、どうも気前がよすぎて、損ばっかりしてるんだけどさ。
それか、ボディも、狼にしてあげるとか。もう出血サービスだけど」   

ハナちゃんは、少し考えました。

「いい」

「え、そうかい」
「いいです、このままで」
「まーそうかい、もう、会うことはないと思うけどね、ラストチャンスだけどね。」

じゃあねと言ってうさぎが立ち去ったあと、ブランコにのりながら、ハナちゃんは、空をみあげました。
もう、月がでています。
春の夜風は、冷たいこと。
ハナちゃんは、月にむかって、ウオオオーンと、ほえました。
その声は、確かに、狼のものです。

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あたし、
めちゃかっこいいかも。

ハナちゃん狼は、もう一回、夜空をみあげて、ウオオオオーンと、ほえました。

  2012.4。16脱稿







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勝三郎くんのブログ
http://www.big.or.jp/~shimpset/burma/index.shtml

イラストがすてきl
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