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== おはなし ==

カナリア雑貨店の怪  その1

ある時、突然という感じで、その赤ちゃんはうちにやってきました。
わたしは小さな本屋を営んでおりました。好きな本や雑貨など集めた、ささやかなお店ですが、お客様には恵まれ、愛されてきたのです。
でも小さな赤ちゃんを授かってからは、お店はお休みです。赤ちゃんは、一日中、と思えるほど、大きな声で泣きます。だっこしてもおんぶしても泣いているのですが、下へおろすともっとおっきな声で泣くので、背中にくくりつけて、家事をしました。
毎日のお買い物、どうしようかしら?
するとある日、郵便受けに、一枚のチラシがはいっていたのです。

「食料品日用品一般、お玄関までお届けします。
  カナリア雑貨店」

知らないお店です。でも買い出しに、困っていたわたしは、そのチラシが、なんだか光輝いているようにみえて、すぐに、書かれている番号に電話したのでした。

プルプルプーという呼び出し音に、じき、女の人が出てくれました。
事務的だけど、てきぱき、きちんとした印象の応対。
わたしは、自分の住所をつげ、配達をお願いしました。

すると、翌日には、トイレットペーパー、お米、子供のミルク、おむつ、新鮮お野菜が届けられました。
助かった!
ありがたいことには、配達料も要らないそうです。
ただ、配達に来たものが、奇妙ではありました。

DSC_0184_20190115083059.jpgまもちゃんがんばってます


ドアチャイムが鳴って、出てみると、そこにいたのは、一匹のカエルだったのです。
エプロンをしたカエルと、たくさんの荷物が、ドアの外に待っていました。わたしが絶句していると、カエルは、伝票とペンを、背伸びしながら渡してきます。
驚きながら、わたしがかろうじてサインをすると、伝票をひったくったカエルは、たたたっと、階段を、直立歩行で降りてゆきました。

それからはいつも、このカエルが、カナリア雑貨店から、配達に来るようになりました。それにしても。
うちは、古ぼけたアパートの四階、エレベーターなんてありません。
あの、ちっぽけなカエルは、どうやって、荷物を運んでいるのでしょう?
緊急の時は、朝お願いして昼に届けてもらうこともできて、いつしかわたしは、買い物のほとんどを、カナリアにたよるようになっていました。多いときだと週三回は、このエプロン蛙に会うわけですが、カエルは一度も口をききません。そりゃそうか、カエルですもんね。
  つづく

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