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== おはなし ==

カナリア雑貨店の怪 最終回

そのドアを開けると。
カナリア雑貨店でした。

落ち着いた木の床、淡いグリーンの壁、天井から、壁からもぶらさがっている、たくさんの、鳥かご。
そして、奥の、どっしりしたカウンターの向こうに、一人の女の人が立っていました。


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髪も眼も、真っ黒なその人は、わたしには見向きもせず、指にとまっている小鳥に、えさなどやっているところでした。
小鳥。
姿がかわっていたって、わたしには、わかったのです。それは、わたしの赤ちゃんでした!

かえしてください、わたしが叫んでも、女の人はわたしに見向きもしないで、
「ぴーちゃん、どうしようか?」優し気にささやくのでした。


ぴーちゃんなんてよばないで!その子はわたしの子供の、ひなちゃんです!
私は一生懸命、さけんだつもりでしたが、女の人も、それに小鳥になった娘も、しらんぷりで、そっと顔をよせあって、ひそやかにひそやかに、何か語らっているようでした。
ぐるぐるぐるっと天井が回り、ぐらんぐらんと立っている床がゆれました。

気が付くと。
わたしはもとのマンションの床に倒れていました。あたりはもう夕方で、ほの暗くなりかけています。
子供は、赤ちゃんは、蛙は、カナリアは…?


見慣れたわたしの小さなマンションからは。ベビーベッドや赤ちゃんの写真、おむつやベビー服が全部、消えていました。幻のように。もちろん、あの、へんてこなドアも。

あそこで見たおびただしい数の、籠に入った鳥たち。
そう、あそこは、小鳥…子取りの店だったのだわ。

なんの手がかりもありませんが、私は今でも、あの店と、むすめのひなを、探し続けているのです。

おしまい













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