== おはなし ==

動き回る森

ままごと森の空き地で。
三人のおばあちゃんが、お鍋をかこんでおりました。

「わたしらのこと、魔女とかゆうてるヤカラがいるらしいよね」
「らしいよね」
「しっつれいしちゃうわよね」
「ねーっ」
「あいつがいいふらしたらしいよ、いつかのあの若造が」
「あーあいつあいつ」
ばあちゃんたちは、深くうなずきあいました。

KIMG0776mm.jpg

「若くて一所懸命そうだから同情して、あれこれ教えてやったのにさ、恩知らずが」
「勝手に、王様になれると、わたしらが予言したとかななんとかゆうてからに」
ばあちゃんたちは、くふふと笑いました。
「わたしらそんな能力ないしー。
緑の自然は大事にしましょねって、教えたっただけじゃがな」
「そーそー、なんでそれが、森が動きださなければ王様になれるのだよって、わたしらが予言したとかなんとか」
「逆恨みもいいとこ」
ばあちゃんたちは、そうそうと、うなずきあいました。とっても気の合う、三人だったのです。赤の他人で、少し前にディサービスでしりあっただけの関係なのですが、妙に気が合うといいますか、価値観の一致といいますか。
いつも一緒。

「どだい、ままごと森なんぞ、あらゆる人の脳内に偏在しては消える、動き回る森なのに」
「そんなこともわからんで、王様になりたいなんちゅ愚か者、早々に、身を滅ぼしたらしいがな」
「もう、若い人に頼られても、何も教えてあげないことに」
「そうしましょ」
「そうしlましょ」

お鍋をかきまわしながら、ばあちゃんたちは、総勢一致で決議しました。平和そのものです。
しかしてそこに、一人の、いや一匹の?
前掛けをした(エプロンではなく)、珍しいカエルが、かけこんできました。
「あっあっ、いいとこに!おばあちゃんたち、Санкт-Петербургに行く道、どっちですか?」

ばあちゃんたちは、きこえないふりをしました。
ひとりは空をみあげ、ひとりはお鍋の中身をじっとみつめ、もうひとりは居眠りのふりで。
前掛けカエルが、ひとりで、森の空き地であたふたと、かけまわっておりました。

「サンクトペテルブルグーСанкт-Петербургにいかなくちゃー!」

     おしまいなの🐸
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