== おはなし ==

イリンちゃんたち 最終話

その日は、よるのうさこはもう、森のはずれのことはすっかり忘れておりました。ただ、うさぎのシチュゥに、サフランを切らしていたことだけを、残念に思いながら眠りました。
そして、翌日のお昼をなんにしようかなあーと考えていたとき。
思い出したのです。
あの、めずらしい生き物を。
あれ、あれを畑に植えてみたいわ、だって、見たことがない珍しい子だったわ。

うさこは、大きなバスケットを手にすると、森のはずれにむかって駆け出しました。


空き地に近づきますと。
なにか、きこえてきます。歌声?
だんだんはっきり、きこえてくる、歌。
そこには。
五人よりもっと増えて、そう、百人はいようかと思える、空き地をうめつくす数の、イリンちゃんたちが、歌っているのです。
さすがのうさこも、驚愕しました。
これはたいへん!
もとの、しゃべれない一匹にもどれ!

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よるのうさこは、あわてすぎたのでしょうか。いえいえ、やっぱり、サフラン抜きのシチュゥを食べたせいでしょう。

呪文をとなえおわると、そこには。
一人の美しいおんなのひとが、たっていました。

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おんなのひとは、優雅におじぎをしました。

うさこさん、ありがとうございます。
おかげで、わたしは、人間になれました。
こうしてお話ができるようになりました。
わたしは、おかあさんのところに帰ります。
おかあさんと、初めて、自分の声でお話ができます。
うさこさん、ほんとにありがとう。

もういちど、丁寧に頭をさげると、おんなのひとは、きっぱりとした足取りで、ままごと森を出て行きました。

うさこは呆然としていました。
なんのことやら、さっぱりわからないし。
シチュゥにサフランさえ入っていれば、こんな失態は、やらかさなかったのにということだけは、わかりましたが。

今日のお昼に、何を食べればいいのやら。
ちぇっ。

うさこは、からのバスケットをひきずって、とぼとぼおうちへ帰りましたとさ。

そして、よるのうさこは、最後まで、知らなかったのです。
あの小さい生き物がほんとは







という名前だったこと。

              おしまいです


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あ…イリンちゃんのおとしもの…おみみ
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