== おはなし ==

小鳥がおしえてくれた話 その1

「いってきまあす」
べべちゃんは、今朝も元気にドアをあけます。
カゴの中から、そらちゃんが首をかしげて、べべちゃんを見送ります。
そらちゃんは、晴れた日曜日の教会の空みたいに、青いあおい小鳥です。
本当にきれいな鳥なのですが、ひとつだけ、残念なことがありました。
卵のときから育てているそらちゃんは、一度も、鳴いたことがない鳥だったのです。
「ああ、そらちゃんとお話ができたらなあ!」
思わずつぶやくべべちゃんでした。
そう、それは、ほんとに、いつもどおりの朝だったのです。

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べべちゃんは、最近始めた雑貨店のアルバイトに、急ぎます。
すてきなものがいっぱいあるし、楽しいお仕事なのですが。
奇妙なことがありました。
毎朝きちんとおでかけしているのに、店に着くときにはきまって、夕方になっているのです。そんなに遠くはない場所なのに。
今日も、雑貨店の階段がみえるころには、すっかり夕方になっていました。


おや、階段に、なにかいる。
ちいさな生き物。
べべちゃんはふと、思いだしました。
雑貨店主、カナリアさんに言われたこと。
うちのお客さんは、いい人ばかりなんだけれど、ひとつだけ、お耳がぴんっと立ったのには、近寄らないこと。
え?ぴんって…もしかして悪魔、とか?
べべちゃんはきいてみましたが、カナリアさんはそれには答えなかったのです。
そのことを、思い出すべべちゃんでした。お耳、立ってるというより、横っちょに曲がっちゃってるけど。
それは、一匹の、ちいさなウサギだったのです。

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べべちゃんはためらったのですが、ウサギはぐったりと、階段に倒れています。
ちいさな生き物を、優しいべべちゃんは、ほおっておくことができません。
かばんの中には、ちょうど、カナリア特製ドリンクが入っています。(カナリアさんがくれましたが、なんか怪しい気がして飲まなかったのです)
ウサギの首を起こして、ドリンクを含ませると。
おお、ひしゃげたお耳が、見る間にぴんっとなるではありませんか。

そしてウサギはぐんぐん大きくなり、階段いっぱいに、膨れ上がりました。
まずーい★
べべちゃんは逃げようかと思いましたが、ウサギが、頭の上から、こう言うのが聞こえました。
「あなたの親切に、お礼をするわ。朝一番の願いを、かなえてあげる。」
ウサギの目が、べべちゃんにぐんぐんと迫ってきて視界いっぱいになります。わあ、このウサギの目、青い!べべちゃんは、気が遠くなりました。

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次に気がつくと。
あれ、ここは。
べべちゃんのお部屋です。
夢だったのかなあ。でも、床に、ドリンクの瓶が転がっているし。
瓶を拾おうとして、べべちゃんは、おかしな感じがしました。
手に力が入らない、というか、手が無くなってる?えっ?えっ?
そのとき、頭上で声がしました。
「わあ、べべちゃんだあ」

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