== おはなし ==

ゆきなちゃんとうさぎのたまご その2

なになに、うさぎだって?
よるのうさこのお耳が、ぴんっとしました。
それはすてき。
うさぎは、なんといっても、高貴で、美しく、気立てがよくって、なにより働き者の生き物なんだから。

「こほん。ゆきなちゃん。それ、その卵を出してみなさい。
とりあえず、みてあげるから」
正直なところ、うさこはとってもながあく生きていますが、うさぎの卵なんて、みたこともきいたこともなかったのです。

「はあい」
ゆきなちゃんは、素直に喜んで、にこにこしました。
そして、お台所のテーブルに、とびのりました。

「ハーイ、みなさん!クラップユアハーンズ♪」
いきなり歌い踊りだしたゆきなちゃんが、手を打ち鳴らすたびに、なんとまあ。
手のひらから、色とりどりの、小さな卵があらわれます。

踊り終えたゆきなちゃんは、たまごたちを、そっとベッドにねかせました。
そして、お布団をかけて、優しく子守唄を歌ってあげました。
どんな歌だったかは、誰にもわからないわ。
だって、ねんねん~♪と歌いだした瞬間、ゆきなちゃん自身が、ベッドにもたれて、眠ってしまいましたから。
このときばかりは、うさこも、ゆきなちゃんを、そっと寝かせておきました。

翌日、たまごから、うさぎたちが孵りはじめました。

20120311a.jpg

いろとりどりの、ちいさなうさぎたち。
よるのうさこは、とっても喜びました。

けれども、このうさぎたちも、やっぱり眠ってばかりです。
いたるところで眠りこけているゆきなちゃんを、まあるく囲んで、眠り続けるうさぎたち。

ある日とうとう、うさこは、まもちゃんまでが、群れの中で気持ちよさそうに、すやすや眠っているのを発見したのです。
眠れる群れを、うさこは、見下ろしました。
すると、どうでしょう。
うさこも、強い眠りにおそわれたのです。
いっけなーぁい!
うさこは、ぐんっとお耳をゆすりました。

20120311b.jpg

急いで大きなかごを持ってきて、そこにうさぎを全部、つっこみました。
みんな気づかず眠っていますが、まもちゃんだけは目をさましました。
うさこのすきをみて、一匹だけ、うさぎを、かごからそっと、取りだしました。
それは、ゆきなちゃんが一番仲良しの、かりんちゃんという名前の子でした。

うさこがかごを持って立ち去ったあと、まもちゃんはゆきなちゃんを、起こしました。
ゆきなちゃんは、かりんちゃんを抱きしめて、言いました。
「かりんちゃんだけでもいてくれて、よかったあ。
一年に一度しか、うさぎのたまごは作れないし、
もうできることないから、おうちに帰るねー」

まもちゃんは、みずの坂に行けるドアを、持ってきてあげました。

20120311c.jpg

「ゆきなちゃん、こんなことになって、ごめんね。
いつでもどこでも眠れるのも、とってもすごい才能だとまもちゃん、思う」
「ありがとう、まもちゃん。うさこさんや、まもちゃんにあえて、うれしかったよ。
ままごと森、好きだし。
塩バターキャラメルクレープ、とってもおいしかったし」
「すぐにたたき起こされるのさえなかったら、いいとこだよね」
かりんちゃんも、言いました。

ゆきなちゃんとかりんちゃんがバイバイと手をふって、ドアをくぐったころ、よるのうさこは、眠れるうさぎたちを、カナリア雑貨店の卵ワンパックと交換してもらうべく、交渉しているところでした。

                           2012.3.14脱稿
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