== おはなし ==

カナリアかばん店 その1

ぐりことびすこは、この春から、こうさぎ小学校、四年生。

本当の名前は、甲咲小学校ですが、こーざきしょうがっこう、と誰かが発音するたびに、心のなかで、こうさぎ小学校!と言い直すふたりでした。
実際の学校には、かわいいものなんか、なんにもなくって、灰色のコンクリートと埃っぽいグラウンド。枯れ葉がいっぱい浮いたしけたプール。
せめて、名前だけでも、かわいくしないと、やってられない。

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もちろん授業も、うるさいクラスメートも、つまらない。
ので、今日もふたりは、昼時のどさくさに、裏門を脱出しました。

ひとけが無いから行ってはいけない、さびれたモモイロ神社に、カバンを隠して。

真昼は誰もいない、はずの境内に、今日は屋台が一つでていました。


それは、みたこともないような、へんてこな屋台でした。
すすけた色、全体に、古ぼけているのにペラペラしたうさんくさーい感じ。
看板には

ホシムラ大劇場

と書いてありました。

なんとも小さいしょぼい大劇場、というか、舞台です。
おまけにそばでしょざいなげに立っているのは、大きなりすの頭をかぶった、着ぐるみなのです。

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ふたりが用心しながら近づくと、りすは、一枚のチラシをくれました。

そのチラシには、

カバンの店 カナリア

と書いてありました。
裏には地図と、「このチラシを持ってきたひとには、いいものあげます」

という文字もみえます。

ふたりがそれを読んでいると、りすは舞台の横で、指揮棒をふりはじめました。
小さな舞台の上にはいつのまにか、小さな人形たちが並んでいて、指揮にあわせて歌い始めるのでした。


♪カナリアカナリアかばん店

夕日のなかにうかびくる
明るいうちには見つからぬ
あああカナリアかばん店

夕焼けまでは何マイル?♪


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最初、ふたりは、わっかわいい、と思ったのです。
てのひらほどのサイズもない人形たち。
でも、よくよくみれば、微妙です。
その歌声も、なんだかキンキンしたひ弱いかんだかい、奇妙なものでした。

どうやって、動いているのかしら。
まあ、せいぜい、電気とか、エアーとか、つまらないしかけなのでしょう。

それよりいいものって、なんだろう?

ぐりことびすこは、チラシの店に、行ってみることにしました。
遠くはないようですが、まだ行ったことのない、橋をわたった町なのでした。

ふたりの小学生が立ち去る時、にんぎょうたちは、二番を歌うところでした。

それがきこえたら、ふたりは、行くのを考えなおしたかもわかりません。

♪カナリアカナリアかばん店
歩けば必ずたどりつく
だけどだあれも帰れない
あああカナリアかばん店

夕焼けまでは、何マイル?

黄昏からは出られない

カナリアまでは何マイル?



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