== おはなし ==

めりとりり その2

お祈りをしているりりの頭上に、金色の光がさしてきました。
光はゆっくりとたゆたいながら、水の底まで、おりてきました。

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光の中心に、ベールをかぶった女の人が、いました。

「わたしをよびましたね」
女の人は、言いました。
甘い味がするみたいな声。やっぱり、あの絵の人なんだわ。
おかあさんの家にいたころは、一度だって願いがかなえられたことはありませんでしたが。
今、はじめて、りりのお祈りが、届いたのでしょうか。

「あなたの願いは、わかっていますよ」
女の人は、いいました。
「でも、それは、無理なのです。
失ったものはもう、呼び戻さないほうがよいのです。
めりも、おかあさんも、もう、このステージに、いないのですから。
本当に幸せになりたいなら、あなたは、新しい幸せをさがす勇気をもたねばなりません」

りりには、幸せというものが、よくわかりませんでした。
めりとの水の底の暮らしは、幸せだったような気もしますが、本当は、ぜんぜん幸せなんかではなかったのかもしれません。
でも、女の人に
「幸せを願いますか?」
ときかれたとき、それを今までずっとさがしてきたのかもしれないと、ふっと思ったのです。
りりがうなずくと、女の人は、さらに
「そのために、どんな姿でも、努力しますか?」とたずねました。
「いたします」
りりが答えると、女の人は、にんまりわらいました。
なんて青い目でしょう…あれ、それに、長いお耳が。
ベールでかくしていますが、ぴんっとたった耳が、はっきりみえました。
あの、絵の人なんかではありませんでした。
ていうか、女の人でさえないのでは…

20120401d.jpg

「私が誰でもどうだって、いいことでしょ。契約成立したんだから。さあっ水から出て生きられる、新しい体をあげるからね。せいぜい幸せを、さがしなさい」

りりの目にその、耳のぴんっとした生き物の目が青く青く、ぐんと迫ってきました。
りりは、すぅっと、気が遠くなりました。

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