== おはなし ==

ハナちゃん狼 その2

「…お水を…」

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目深にショールをかぶったかげから、弱弱しい声がしました。
ハナちゃんは、かばんにあった、ペットボトルを、急いでとりだしました。
ゴクゴクゴク。
一気に水を飲みほして、立ち上がったところをみれば。

おばあちゃんどころではありません。かなり大きな人でした。
「ああ、たすかった」
ハナちゃんの頭の上から、声がきこえた時、ショールがずれました。
なんと、その人の頭には、ピンッと立った、大きなお耳がはえていたのです。
ペットボトルを持つ、毛むくじゃらの手も、はっきりみえました。

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「このへんの子どもは、薄情だねえ、声かけてくれたのは、あんたが初めて。
なにかお礼をしなきゃあね、なにが望み?」
おっきなうさぎ…ハナちゃんは、うっとりしました。おっきくて、しゃべるうさぎ。
この日のために、ハナちゃんは、たくさん本を読んで学習してきたのです。
物語のなかでは、人間はみんな失敗します。欲張りすぎたり、言葉をまちがえたり。
お願いは、完璧に、言わなくてはなりません。

「幾つまで、いけますか」「えっ…」
巨大うさぎはいささか、はなじろみました。
「最近の若いもんは、こわいねえ…お願いはひとつだけだよ、一回限り」

それはなかなか、きびしい局面です。
ハナちゃんの頭に、色んな願いが、飛び交いました。
今週のロトは、いくらになっていたっけ…

「早くきめないと、妖術の時間が、すぎてしまうよ」
うさぎがせかしたので、ハナちゃんは、余計あせりました。
お城、お姫様、誰もがもうハナちゃんを無視できないほどの美貌…。

「さあっお嬢ちゃんの、心からの願いはなーんだ」
うさぎの目が、青く青くせまってきたとき、ハナちゃんの口から、思いもよらない言葉がとびだしました。

「オオカミになりたい!」






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