== おはなし ==

ハナちゃん狼 その3

昨日の夜観た映画が、いけなかったのでしょうか。
あまりにもかっこいい、森林狼のドキュメンタリー。
ああ、狼だったら、誰もハナちゃんを無視できないでしょう。
毎朝、ハナちゃんをからかうあの勝三郎だって、ハナちゃんの前にひれふすのです。狼だったらいいのにな。

うさぎは、にんまり笑いました。
「おもしろいねえ、あんた気にいったよ。じゃま、そういうことで」
ハナちゃんのまわりで、空気がぐらっとゆれました。

気がつくと、自分のお部屋にいました。
へーんな夢。
ハナちゃんは、手をのばしてみました。どこも、かわったところはありません。
か細い小さな、ハナちゃんの手です。

キッチンで、おかあさんが呼んでいます。
「学校にいく時間ですよー」
では、もう、朝なのでしょうか。
どこからが夢だったのかなあ。
ふと鏡をみて、ハナちゃんは仰天しました。

ハナちゃんの顔は、狼になっていました。

どこからみても、確かに狼です。長くのびた鼻づら、真っ白い牙、ごわごわ毛のはえた顔。
でも、首から下は、女の子のままなのです。

20120405b.jpg


ハナちゃんは一生懸命、鏡をのぞきこみました。
いくらみたって、おんなじです。
頭だけ狼の、女の子。

ビックリから立ち直ると、ハナちゃんは、ちょっとワクワクしてきました。
一番気に入ったのは、金色に光る,眼です。
かっこいい…。
これまで、誰の注意もひけなかったのは、目力がないせいかもしれません。
これで、ハナちゃんを無視なんて、もうできっこない。

ハナちゃんは、自信にみちて、階段をおりてゆきました。

「おはよう、早くごはん食べてね」お母さんは、弟を抱っこして、片手で、台所のことをしています。
お姉ちゃんは、トーストをかじりながら、興味なさげにハナちゃんを、じろっとみました。
いつもとおんなじです。
ぜんぜん、いつもの朝です。

その朝、ハナちゃんは、ごはんを食べないで、学校へいきました。
それさえ、お母さんたちは、気にもとめないのでした。いつものことですが。

学校はどうかしら。
毎朝、ハナちゃんをからかう、あの勝三郎。
「おう、ハナコ」

これまた、いつもとおんなじでした。
ちょっとかっこいいので、余計しゃくにさわるKATくんの背中を、ハナちゃんは、金色の目で、にらみつけました。
でも、なんにもおきはしません。
KATくんは、変な節をつけてハーナコー♪とうたいながら、むこうへ行ってしまいました。

急いでトイレに行って、鏡でチェックしてみても、ハナちゃんの顔は、完璧に狼なのに、なんで誰も気がつかないの?






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