== おはなし ==

ゆき白姫と6匹のコグマその他… その2

けれども、日ごとに、お父さんは、変わっていきました。
お母さんにやかましく言われなくなったせいなのか、泥だらけの靴で、うちに入ってくるのです。ばらべにちゃんが注意しても、もともと口をほとんどきかないお父さんは、黙っています。
そして翌日、また、床は泥だらけになっているのです。
テーブルに泥だらけの靴を乗っけていることもありました。お母さんがいたら、けして許されないお行儀でした。

その上、お父さんは、ひげをそらなくなったようです。気がつくと、顔が見えないほど、けむくじゃらになってきました。お風呂も入っているのか、いないのか。

ゆき白ちゃんは相変わらず、鏡をみてうっとりするか、お姉さんに言われていやいや台所の手伝いをするかしていて、お父さんの顔なんて、見てもいなかったのですが、ばらべにちゃんは、なんだか毎日、お父さんが帰ると、不安な気持ちになるのです。

ある金曜日、あんまりむさくるしい様子のお父さんに、ばらべにちゃんは、お風呂にはいってひげをそるよう、頼みました。
お父さんは、うう…とうなりました。
そのとき、姉妹は、気がついたのです。
お父さんは、すっかり、熊になっていたのです。
もはや、わが子の見分けもつかないのか、お父さんは、ウォウウォウとうなりながら、娘たちに飛び掛ってこようとしました。
姉妹は、小屋から、飛び出して、逃げました。

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奥さんに逃げられた男の人が熊に変身したりなんて、ちょくちょくあることを、このおんなのこたちは、知らなかったのでした。
もうおうちに帰れないことだけは、解りました。
姉妹はとぼとぼと、森を奥へと分け入っていきました。

現実的に物事に対処していたはずのばらべにちゃんのほうが、落ち込んでいました。それは、お母さんがいなくなってから、一人で本当に、がんばってきたからでした。誠実に、人のためにがんばりすぎた人ほど、挫折はいっぺんにくるものです。
いっぽうゆき白ちゃんは、歩きながら、だんだん、元気になっていくようなのです。
全てのしがらみから解き放たれた開放感か、鼻歌まで歌っています。

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だってあたしはお姫さまなんだもの。
親に恵まれず森をさまようお姫さまの前には、必ず都合のいい展開がおとずれるものなのよ。

なんという根拠のない強気。
ばらべにちゃんは、この妹に、ほとほとあきれはてました。
もう、この子と離れて一人でどこかへ行こうかしらと、ばらべにちゃんが思いつめた時。その時。



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