== おはなし ==

パレードに雨をふらせないで その4

ほんとはオンナノコが欲しかったおかあさんなんだから、イナホ君のことなどすっかり忘れていれば助かるのに、そううまくはゆかないものだ。
連日の、塾の大遅刻が露見した日、おかあさんは大逆上した。

いつも、なにごとにも逆らわない主義のイナホ君も、この日ばかりはがまんの限界、ごはんも食べずにうちを飛び出した。
外は暗くなりかかっていた。

イナホ君は気がつけば、神社にむかっていた。

月もない今宵の境内は真っ暗…のはずが。
音楽のようなものが聞こえてくる。笑い声や話し声も。
そして、ほのぐらい灯りの灯った中に、あの屋台があった。

イナホ君は、うれしくなってかけよった。

見物席は、いつものようにちいさい子たちでいっぱい…、いや、こんな夜中にコドモがいるはずが?
眼をこらしてよく見ると、見物のちいさい人影たちは、人間ではなかったんだ。

一番前の真ん中で、うれしそうに手をたたいているのは、ちいさなかえるだった。
ひつじ、とり、うさぎ…。
耳だの羽だの生えていて、しかし服など着こんでいたりもして、人とも動物ともつかない者たちが、楽しげに舞台に興じていたんだ。
イナホ君は相当驚いたんだが、興味も同じくらいそそられて、こっそり、すみの席に腰をおろすことにした。こんなに暗いんだしさ…。

ホシムラ大劇場は、昼間の興業よりずっと、にぎやかに楽しげであった。
欲深うさぎが市場へ、首にひもをつけたかえるを売りにいくような話だったんだ。
イナホ君もしだいに舞台にひきこまれ、おおきな声で笑ってしまった。

観客がいっせいに、イナホ君をふりかえった。

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「キミはついに、夜の部まで、来てしまったんだね」
仁王立ちになったリスのホシムラさんが、イナホ君を指差して言った。
初めて聞くリスの声。イナホ君は気がついた。
これ、着ぐるみじゃないんだ。

舞台の人形たちも、仕掛けで動いていたわけじゃない。芝居を止めて、ニヤニヤ笑いながら、イナホ君を見ているよ。

これ、みんな生きてるの…?

       ★ 次回でおしまい






ぽち!!!!(まもちゃんより)
そうだ合言葉はぽち!でもポチムラさんじゃないよホシムラさんだよ。うしゃこ

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