== おはなし ==

黄昏アパートメント  2階のアトリエ

よるのうさこは、お洋服もカバンも大好き。
おひっこしの日、2階のアトリエを、さっそくのぞきにいきました。

やや散らかった中で、おんなのこはもう、ミシンをふんでいます。
お部屋には、バッグやお洋服や、かわいいものがたくさん。
うさこは、がまんできなくなって、大好きながまぐちタイプのバッグをひとつ手にとりました。

「それ、お好きなら、おわけできますよ」お針子のおんなのこは、にっこりしました。
「まだ開店前だから、大家さんには格安にするわ」

うさこがお洋服やカバンよりもっと好きなのは、格安という言葉なのでした。大喜びで、うさこは、そのバッグを買って、屋根裏の部屋に帰りました。

なんて深いブルゥなんでしょう。無地のようにみえるのですが、よく見ると、さまざまなこまかい模様がうかびあがってくる、青いガマ口バッグ。うさこはうっとりしました。
その晩は、ベッドの横に置いて寝ることにしました。
ランプを消してからもお布団の中で眼をあけると、窓からの月明かりで、バッグが見えるように。

気のせいでしょうが、青いバッグは、夜のなかで、チロチロと光りだしたようにみえます。うさこは、幸せな気分で眠りにおちてゆきました。


TS3R1624.jpgオーノーッギブアーップ


数日後、うさこは2階のアトリエに、バッグを返しにいきました。
お目めが真っ赤です。お顔までむくんでいます。

うさこは、青いバッグを買ってから、一睡もしていないのです。眠ろうとすると、部屋中に、波の音が響いてきて、それはどうやらあのバッグからこぼれてくるのでした。波の音は日ましに大きくなり、昨夜なんか、ごうごうと、もはや嵐のようでした。

「あらあら、お気に召しませんでしたか。ではかわりにお洋服はいかがかしら。おわびに、激安で」
うさこが格安よりさらに好きなのは、激安というフレーズなのでした。
うさこは、ふらふらと、いちまいのワンピースを、手にとりました。





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