== つくったもの ==

グリム童話より   「兄と妹」

あるところに、仲の良い、兄と妹がおりました。
お母さんが亡くなって、新しいお母さんがきてから、この兄妹は、幸せではなくなりました。
義理のお母さんは、ふたりの継子を、毎日ぶったりけったり、食べ物は、残り物のパンくずしか、くれません。

「これじゃ、テーブルの下にいる犬の方がましなくらいだね。だって、あの人は犬たちには、ご馳走を投げてやってるもの。ああ、お母さんが生きててくれれば」
兄は妹に嘆きました。
そして、このあわれな子供たちは、広い世の中に、手をとりあって、出ていくことにきめたのです。

二人は、野原や岩地を超えて、一日中歩きました。
夜になって大きな森に着きました。
疲れ切ったふたりは、大きな木の下で眠り込み、り、次の日目覚めると、もう太陽は空高くのぼり、あたりは暑くなっておりました。
兄は立ち上がって妹の手をとりました。
「妹よ、のどがかわいたねえ。水のせせらぎが聞こえる方へ、行こう」

実は、継母は、おそろしい魔女だったのです。
そして、継子たちのあとを、こっそりつけていて、泉に先回りして、悪い魔法をかけたのです。

兄は、さっそく泉の水をのもうとしました。
しかし、妹の耳には、はねる水の声がきこえました。

「ここから水を飲む者はトラになる。ここから水を飲む者はトラになる。」

「お願い、兄さん、飲まないで。この水をのめば、兄さんは野獣になって、あたしを引き裂いてしまうでしょう」


兄はとても喉が渇いていたのですが、次の泉まで、がまんしました。
しかし、次の泉からも、妹の耳は水の忠告を、ききつけました。

「ここから水を飲む者は狼になる。ここから水を飲む者は狼になる」
妹は懇願しました。
「この水を飲むと、兄さんは獣になって、あたしを食べてしまうわ」


「次の泉まで、がまんするよ。でも、のどが渇いてたまらない、次の水は、どうあっても飲むからね」

三番目の泉は、妹にこう告げていました。
「ここから水を飲む者はノロジカになる。ここから水を飲む者はノロジカになる。」

「お願い、兄さん、飲まないで。さもないと、あなたはノロジカになり、あたしから逃げて行ってしまう!」
妹が叫んだ時にはすでに遅く、渇いた兄は泉にくちびるをつけていました。

ひとくち飲んだだけで、兄は、若いノロジカに、その姿を変えられていました。



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