== おはなし ==

フィンランド フィンランド なんかそんな感じ★ その2

まもちゃんは、わくわく、畑に近づきました。
うさこの冬眠以来、すっかり枯れ果てていた畑が、まあ、なんてすてきな色彩★やったね、まもちゃん。←自分を讃える。

あの、灰色っぽいトントゥさんは、サウナの係りかな。
グリーンの子は、畑のトントウさんでしょうか。
お台所トントゥらしき子もいます。
真っ赤なクリスマスカラーの子は、トントゥの王道、クリスマストントゥだぁ。

ただ、労働者集団にしては、彼らがいささかおめかししすぎのような、気もするのですが、でもでも、エプロンとかは、ちゃんとつけてるし。

まずは、ごあいさつ。
オハヨウゴザイマス。

しかし、トントゥたちは、沈黙したまま、微妙に、まもちゃんと視線を、あわせようとしないのでした。

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あれ、おかしい…。

花売りお姉さんの解説では、トントゥたちって、おうちや森のあちこちにすみこんで、お仕事にいそしむ、北欧渡来の妖精さんたち、なはず。
まもちゃん丹精のこの子たち、どうみても、働き者って人相とは、言えないような。

いえいえ、知らない畑で、とまどっているだけに違いありません。

さあ、今日から、一緒に、ままごと森で、楽しくお仕事しましょう♪

なるべく明るい感じで、まもちゃんは言ってみました。

やっと、手前のトントゥが、じろっと、まもちゃんのほうに目をむけました。
サウナトントゥさんです。

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こんなとこに、サウナ、あるの?

…そういえば、ままごと森に、サウナなんて、ないのです。

サウナ以外では、ぜったいぜったい、お仕事しないからね。

それを口火に、トントゥたちは、てんでに勝手なことを、叫びだしたではありませんか。

こんなとこで、お仕事なんか、ぜったいぜったいしてやんないからねっ。

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ああ、土が悪かったのでしょうか、ままごと森に生えたトントゥたちは、北欧のなんとなくおされーなイメージ、そう、こんな感じの。

       ♪山はそびえたち 梢は高く 鳥はさえずり
         フィンランド フィンランド フィンランド
          そんな感じの国 (谷山浩子)

をくつがえすほど、わがままなコビトさんたちだったのです。

中でも、一番おめかししてるクリスマストントゥは、すっごくえばっていました。
サンタさんのお手伝い以外は絶対しない、かえるの手伝いなんか、するわけないーと、鼻の先で、笑っちゃいますね、ええ。

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ここで、よるのうさこならば、自分の役に立たないものは、土に埋めちゃえってさけぶはずなのですが。
まあ、うさこは、当分、お布団から出てこないんだから、畑の異変も、知りようがなく。

結局まもちゃんたら、ルーティーンワァクに加えて、畑にすわりこんだまま、なぁんにもする気がなく、口を開けば不平不満のわがままトントゥたちのお世話まで、駆けずり回って、しちゃってるだけの毎日、という、おはなしでした。

あ、でも最近まもちゃん、夜な夜なこっそり、ドア作ってるらしいです。
あいかわらず、ぼろっちい、がたぴしドアを。


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えっと、ドア二枚あってね、一枚には倫敦 もう一枚には、浅草って、書いてあるんだって。

  おしまい



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== おはなし ==

フィンランド フィンランド なんかそんな感じ★ その1

ある時、かえるのまもちゃんは、春のお散歩に出かけました。ていうか、プチプチ家出?

だって、この冬の終わりからずぅっと、よるのうさこは、なぜだか、寝てばかり、いるんです。一日22時間くらいは、お布団のなか。たまに目をあいている時には、まもちゃんの耳元で、わざとらしいぃため息をついて、からっぽの豚さん貯金箱を、振って見せるのでした。
そりゃあ、あんなに寝てばかりいて、畑もなにもほうりっぱなしでは、貯金箱もからになろうというものです。そうじゃありませんか?
まもちゃんのせいじゃないもんね。

もう、やだやだやだ。

まもちゃんは、春にしてはまだ冷たい風や空気を味わいながら、のんびり歩いたり、時々だだだっと駆け出してみたり、うさこの家が遠くなるにしたがって、しだいに楽しいキモチになってきました。ついには、怒っていたのもすっかり忘れちゃって、森のはずれにお花を売っているお姉さんを見つけた時には、うさこにおみやげ、買っていってやろうかなぁなんて、気の良いことを考えてしまったり。

え?うさこ?あの欲深大家さんですか?
お花をたぁくさん並べているお姉さんは、笑いました。

アノヒトにお花なんか、受けっこないですよ。

そかな。困惑するまもちゃんに、お姉さんは、ちっちゃな袋をくれました。


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これはね、トントゥの種。すっごく働き者のコビトさんたちが、生えてきますよ。

まもちゃんは、大喜びで、走って森に帰り、畑に種を蒔きました。
そんなすてきなコビトさんたちならばさ、うさこのなまけ放題を、断然、補ってくれることでしょう。
いいなあ。


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水やミルクや、奮発して、とっておきのクッキーまで、まもちゃんは、畑にせっせと運びました。
その甲斐あって、三日目の朝、畑に行ってみると、おお、いますよいますよ、コビトさんたちが!


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トントゥちゃんたちって、おっきい子でも、サンタさんのおひげの半分の背丈までなんですって。
うんとちっちゃい子もいます。そして、それぞれ専門の場所が、お仕事場なんですって。お花うりのお姉さんに、教えてもらいました。

いま、まもちゃんの目の前に現れたトントゥたちは、だいたい、まもちゃんとおんなじくらいな身長でした。
これなら、労働力として、とっても、期待できそう。ふふふ。
   続く



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== おはなし ==

まも太郎 最終回

さてさて、道中、さまざまありましたが、とにもかくにも、まも太郎と二匹のサルは、鬼ヶ島に、到着。
ていうか、普通の田舎の村。島でもないし。
道々、訪ね歩いたところ、最近、鬼なんてものがいるのは、この村だけと、みなさんおっしゃるので。きっと、ここが。
おそろしい鬼の巣窟なんでありましょう。

うさこに無理やりもたされた、竹刀なんかをふりかざし、さる子1、さる子2と連れだって、鬼の家になだれこんでみれば。

ほんとに居た。
赤鬼と青鬼。


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びっくりして、まもちゃんたちを、見ています。
鬼どもは、ちいさい子を集めて、お茶会を楽しんでいるところだったのです。

うさこという重圧が無い猿たちは、ちゃっかりテーブルに座り込み、お菓子など、ごちそうになりだしました。
しかし、まもちゃんには、いえまも太郎には、やらねばならぬことが。

え、金銀財宝?

こどもたちは、さわぎだしました。
なにーそれーそれって、おいしーの?
ねーおいしーのー?
赤おにさんと青おにさんがいっしょにいたら、出来レースにちがいないって、なんのことー?

わーわー騒ぎながら、お菓子を貪り食う、うんざりするような子供の群れ。

略奪って,、そんな。たしかに、この子たちは、あちこちの、大切にされてない所からさらってきた、わたしたちにとっては、金銀財宝にまさるタカラモノといえますがねえ。
などと語る鬼さんたちの眼は、慈愛にあふれているような。
よっぽど、いい鬼さんなんですかね。


「蒼さん、みぃんな、よいこたちですね」
「紅さん、ほんとですねえ。でも、もうちょっと、肥えてもらいたいですね」
「そですよね、まだ、小骨がのどに、ささりそう」
「それにひきかえ。うさこがよこしたこの猿さんたちは、お歳暮だけあって、なかなかいい肉付きではないですかー」
「うん、すてき、かえるのほうも、目先がかわって、いいおかずになりそうですね、うさこばーさま、いかした心遣い★受けるー」

「あれ、かえる…かえるどこいったのかしら?」

お水をくみにいったお台所で、立ち聞きしちまったまもちゃんは、逃げ足はうんと早く、鬼さんたちが気づいたころには、ふたっつ先の山を越えて、すたこら走っていたんでした。

ふう。

おしまい

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なぜか復活ランキング。。ぽちぽち!!(まもちゃんより)


やっぱりこんな結末なのか、クリスマスなのに、クリスマスなのに…
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== おはなし ==

まも太郎 2

まも太郎はとびきり順応力があったもんで、この暮らしに、適応していきました。
こき使われはしますが、ばーさんは、おいしいごはんだけは、作ってくれるし。
しかし、強欲なうさこばーさんが、豊富にごはんを食べさせてくれたのは、たくらみがあったのですね、やっぱり。

ある時、うさこは、言いました。
「ああ、かえるのからあげ、食べたい…」
一日労働して、ばんごはんのあと、のんびり寝っ転がっていたまも太郎は、ぎょっとしておきあがりました。
「…かえるは、さしみでも、うまい」
まも太郎がすっかり青ざめると、うさこは、ふふと不気味に笑いました。
「カナリア雑貨店にいけば、立派なカエルの身は、売ってるんだけどさ、ここんとこ、豚さん貯金も底をついてねえ。それというのも、あんたを養わなきゃいけなくなったからでさあ」

うさこの話しでは、山を三つ超えたところに、鬼ヶ島、があるそうなんです。鬼たちは、略奪をくりかえし、がっつり、お宝を貯めているそうな。

ああーこの展開にも、覚えがある。
運命には逆らえないのだ、まも太郎は、うさこにオーダーしたおむすびを持って、出発しました。

きび団子じゃないのは、単に、まも太郎の好物が、おむすびだったからですね。

このまま、フケちまおかなー。まも太郎は少し歩くと、腰をおろして、おむすびを食べはじめました。
鬼なんて、絶対、会いたくないし。

「かえるちゃん、こんにちは」
溜息をつくまも太郎の前に、だれかが立っていました。
見ると、二匹のサルでした。
「おむすびちょうだい、あたしたち、、おなかへってるの」

まも太郎は、気前は悪くないほうで、さるたちに、おむすびを一個ずつ、あげました。
三人で食べながら、さらっと事情を話すと、おむすびのお礼に、鬼ヶ島について行ってあげましょうとか、サルたちが、言い出しました。
そうそう、この展開。
でも、サルが二匹って。ちょっとおかしくないかい?

「あんた、こまかいこと、気にしすぎー、どうしてもってんなら、ほら」
片方のサルが、ポケットから、パンツをとりだしました。それは、犬の顔が描いてあるパンツで、あろうことか、さる子1は、そのパンツをかぶってみせるのです。


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まも太郎は、あきれました。
しかし、これ以上追及して、猿にそむかれても困るので、顔に出しませんでした。、ポーカー、非常に得意なんだよね、じつは。
それにしても。このさるたち、名前が、さる子1とさる子2って。
この森は、どこまでいいかげんなんかい。

せめて、キジとか、いないですかね。

あ、鳥なら、そこに。
サルが指さす、川の向こうを見れば。
黄色い鳥のかぶりものをした女のひとが、お団子頭の女のひとたちと青いシートの上で、お酒を飲んでいます。

「ほれ、あそこにカナリア雑貨店主」
サルが教えてくれました。
でも、雉じゃなくって小鳥、おまけにあんなにお酒飲んでいたら、戦力にならないでしょう。ていうか、お酒のほかに、ものすごいごちそう並べてるし。おむすび一個では、釣れそうにないですね。
それでも、サルたちは、はじめにおむすびをもらったからと、律儀にまも太郎についてきてくれるそうなんです。
ほんじゃまっ、行くしかないか。

つづく


復活したランキング。。ぽちぽち…(まもちゃんより)
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== おはなし ==

まも太郎 その1

ある時ね、一匹のカエルが、川のほとりに、いいものをみつけました。体よりおっきい、桃!
カエルは、桃が大好物だったので、おおよろこび。おいしい実を、むしゃむしゃと食べました。
甘い果物でおなかいっぱいになったカエルは、ぐっすり眠りこんでしまいました。

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カエルが目をさましたとき、目の前には、怒り狂ったおばあさんが、包丁にぎりしめて立っていました。
「なにこれーっこの桃、中身からっぽじゃん!」

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カエルは中身をたいらげたおっきな桃の皮に入り込んで、眠っていたらしいのです。カエル入りの桃(の皮)は、どぶん。
すぐそばの川におっこちて、流れ流れて、おばあさんに拾われ、包丁で、まっぷたつ。
カエルは、ぞぉっとしました。自分が、まっぷたつにされなくて、よかった。

カエルが、しげしげと、おばあさんの長い耳をながめていますと、おばあさんは、ぶつぶつ言いだしました。

まっいいか、桃は食べ損ねたけど、せめて、このカエルを、働かせれば。

カエルは、この展開に、覚えがありました。けっこう読書家なんです。

「あのーおじいさんはどこに?山に芝刈り?」
ばあさんうさぎは、包丁をふりかざして、怒鳴ります。
「居ないよじーさんなんて、シングルマザーで不満があるかいっ
そもそも、あたしはあんたが男の子か女の子かも、きかないだろ、ジェンダーフリーだよっ、そんで、お前の名前は、すぱっと、まも太郎にきめたからね!」
海賊ぢゃないよっ
というわけで、カエルのまも太郎は、ばーさんうさぎの養子になって、川でお洗濯、山へ芝刈りに、トイレ掃除に鍋磨きと、日々こきつかわれる事と、なりました。


つづく



ランキング。。復活。ぽちぽち…ぽちぽち…(まもちゃんより)
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== おはなし ==

木苺の誘惑       やっと最終回

どすんとおっこちた森は、よどんだ空の下、この前とおんなじ、甘いお菓子や、濃厚なスパイスや、くらくらするような香りがたちこめています。
まもちゃんは、小さくピアノの旋律が聞こえる方へと、歩いていきました。

大魔女の屋敷窓からのぞくと、この前の女の子が、やっぱりピアノをひいていました。よくみると、おんなのこの背中には、小さな真っ白い羽根が二枚、ふるふると震えているのでした。
じっとみていると、女の子の頬に、涙がすぅっと、流れました。

大魔女も、いました。
この前よりぐんとスリムになって、真っ黒な、美しいドレスをきて、別人のようですが、まもちゃんは、おなじみの、怪しい魔法のにおいをかぎわけました。
大魔女の表情は、黒いベェルをかぶっていて、見えません。
そういえば、おんなのこも、黒い服です。、

まもちゃんは、屋敷の裏にまわってみました。トメゴロー、いるかな。

裏庭は草ぼーぼーですが、花も咲いていました。クリスマスローズの、甘い香りもします。
草むらの中をよくみると、一か所、土が盛り上がって、小さな土まんじゅうができていました。木で組んだ、ぞんざいな十字架が立っています。十字架に、象の帽子がひっかけてありました。
十字架には何も書いてはいないけれど、まもちゃんには、わかりました。大魔女が、急に、大掃除をする気になったんだな、あのあと。

トメゴロー、さよなら。そしてありがとね。
まもちゃんは、土まんじゅうに向かって、ていねいにお辞儀をしました。

うさこの寝室に帰ると、うさこは、なにも知らずに、いびきをかいていました。まもちゃんは、そっと、朱い目玉を、もとどおりはめこみ、ドアをパタンとしめて、自分のうちに帰り、もう夢はみないで、ぐっすり眠りましたとさ。

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おしまい



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     遊びにきてね、木苺色に染まった、ままごと森へ。
            12月15日までデス。

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== おはなし ==

 木苺の誘惑  その5

象男は、まず、手に持ったお椀を、まもちゃんに渡そうとました。木のスプーンも添えてあります。暖かい湯気と、強いスパイスの香り。
まもちゃんが首をふると、象男は、残念そうな顔をしました。でも、これを食べたら、どうなるか、まもちゃんは知っています。魔女の食べ物を魔女の敷地で食べたら、一生魔女の召使です。象男のように。

「やっぱうさこに目玉持って帰ってやらないと」
「そっかー、おまえなら、ずっとここにいてくれてもいいんだけどな」
象男は、ポケットから、赤いまるいものをひっぱりだしました。
「大魔女さま、いまお風呂だからさ、今のうちに帰ったほうがいいぞ、これ持って」

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思ったよりずっと、大きくて赤い、柔らかい目玉を、まもちゃんはそっと、エプロンに包みました。
これ、なくなったってばれたら、トメゴローは平気?

ふふふん。
象男は、えらそうに、鼻をならしました。
「大魔女様が大掃除がしたくなるまでは、絶対、ばれっこないやね。そんでもって、そんな気になるのは、何百年に一回だからな」

まもちゃんは何も持っていなかったので、ありがとうをこめて、象男と握手して、おわかれしました。ちょっとえらそうだけど、悪いやつではなかったなと、思いながら。

まもちゃんは落っこちてきた空き地まで戻り、黒い空に向かって、目玉をふりかざしました。森の闇のなか、目玉は妖しく朱く、サーチライトのように輝きました。
次の瞬間、まもちゃんは高く高く空に吸い上げられ、それからドサッと地面に、落っこちました。

気が付くと、いつもの台所で、うさこが鼻歌を歌いながら、お料理をしていて、まもちゃんは、食卓に座らされていました。
「食卓で、寝るんじゃありません」
言いながら振り向いたうさこの顔には、両方の目玉がちゃんと、ついています。
なんだ、うたたねの、夢だったの?

でも、うさこの左の眼が、ぎらんと、朱く光ったように、まもちゃんには見えました。

                    ※※※※※※※※※※※※※※

数日数週間たつと、目玉のことは、夢だったような気もしてきます。第一、大魔女の森なんか、どこにあったのやら。

いつものトイレ掃除や、お鍋磨きを、てきとーにエスケープしながらこなす日常が戻ってきたまもちゃんでしたが、ある夜、夢を見ました。
夢の中で、まもちゃんは、象男にあいました。
「あれから大丈夫だったー?」まもちゃんが尋ねると、トメゴローは、ふふんっと笑いました。こころなしか、さみしい笑いに見えました。
そして、なんにも言わずに、消えていったのでした。

夢からさめて、まもちゃんは、考えました。
大魔女の森は、どこにあるのか。

時計が、真夜中をつげています。まもちゃんは、台所にいき、一番大きなスプーンを、持ちました。それから、うさこの家まで、夜道を走って行きました。

うさこの寝室に、静かに入って、まもちゃんは、寝ているうさこの、左の目玉を、そぉっと、スプーンでくりぬきました。
うさこは、いびきをかいて、眠ったまま。
ぽっかりあいた、眼窩の、深い暗闇に、まもちゃんは、身体を滑りこませていきました。

 つづく


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== おはなし ==

木苺の誘惑 その4

ぽちゃとした外見と裏腹に、象男は素早く、まもちゃんの枝まで、よじ登ってきました。

「こんなとこでかえるが、なにしてるんだ、大魔女さまにみつかったら、シチュゥにされるぞ」
やっぱり、ここに、魔女、いるんだ。まもちゃんは、溜息をつきました。やだなあ。

「うさぎの目玉か」象男は、事情をきくと、得意そうに、鼻をならしました。
「知ってるぞ知ってるぞ。おいらはなんでも、知ってるんだ」

「前の前の季節に、大魔女さまの宝石、ぬすんだ鳥がいるんだ。誘惑木苺っつう、何千年も大事になさっていた、魔界にも二つ無い、真っ赤なダイヤモンドなんだ。鳥がかくしていたその宝石を、バカうさぎがうっかり食べちゃったんで、大魔女さまがおこってなあ」

もうあんまり、この先、ききたくないけど、任務遂行のためには仕方ない…。
「喰われた宝石のかわりに、その意地汚いうさぎをさらってきて、めんたまを、おいらがくりぬいてさ
しばらく片目のうさぎを、下働きさせてたんだが、あいつ、いつのまにか、逃げたみたいだなー」

まもちゃんが仰天していると、いささか、うしろめたそうに、魔女様の言いつけはなんでもきかないとなぁとか、象男は、口の中で、言い訳しました。
「ぶよぶよのうさぎの目玉なんか、おいらは、要らないと思うんだけどなあ。大魔女様は、なんでもかんでも、負けるのキライだからなあ。
あのうさぎは、うちじゅうのもん、食い尽くすから、実のとこ、逃げてくれて、みんな、ほっとしてるのも、確かだけどなあ」

もう、魔女もうさこもほっておきたいとこですが。まもちゃんも、任務は遂行するしかないのでした。

象男は、自慢しいですが、気は悪くないようです。まもちゃんの話をきくと、多いに同情したようでした。

「おいら、さがしてきてやるよ」
秘密の地下室とかに、厳重にかくしこまれているのでしょうか。
「いやいやぜんぜん、大魔女さまはなんせ、片付けができないおかたでなあ、うちの中のどっかに転がしてあるはずだから、あの中からさがすのが大変だと思うんだなあ」

そのとき、屋敷から、トメゴローを呼ぶ、厳しい声が飛んできました。冬のつららみたいな声でした。
象男は、さぁっと顔が白くなり、なんだか、ぽってりした体まで、一回り小さく縮んだかのようでした。

「とにかく、すこし、まってなさい」ささやくと、象男は、ささっと、木をおりて、うちの中に、駆け込んでいきました。

どこの森にも、似たような妖術使いや、似たような哀れな召使が、居るもんなのかなあ。ちょっぴりシンパシィをいだく、まもちゃんなのでした。

まもちゃんは、木からおりると、窓の一つに、こっそり近寄って、のぞいてみることにしました。女の子が、ピアノの前で、本を読んでいます。後ろに、ぽってりした女の人が、立っています。女の人の前に、象男がかしこまって、何か叱られているようでした。では、これが、大魔女なのでしょう。花柄のドレスなんか着て、あんまり魔女ってかんじでもないけれど。

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さて、みなさんは、魔女ってどんなもんだと、想像なさるでしょうか。
いぼだらけのかぎ鼻、もつれた白髪、ギョロリと落ちくぼんだ、こわいこわい眼?それは、普通の魔女なんです。魔王の下で、こきつかわれている下っ端の魔女ですね。
大魔女は、それとは別物です。誰の命令もききませんし、醜くもなりません。それは、周囲のものたちから、若さや美を、吸い取って生きているからです。だから、大魔女は、一見魔物には見えないくらい、若くて美しいものなのです。ホーキではなくって、赤い小さな、すてきな電気自動車を愛用しているし。

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でまあ、この大魔女も、こぎれいな女のひとなのですが、まもちゃんは、うさこのもとで嗅ぎなれた、邪悪な妖術のにおいを、はっきりとかぎわけられました。
叱られ続けて、象男は、どんどん縮かんでいくのに、ピアノの前の女の子は、まったく周りが目に入らないように、読書に没頭しています。
その奇妙な光景を観察しながら、この魔女はてごわいな、うさこのようにちょろくは、だしぬけないとな、まもちゃんは思いました。
部屋の床は、確かに、乱雑を極めていて、ここから、小さな目玉を一個、さがしだすのも、容易とは思えません。
まもちゃんは、象男トメゴローに、すべてを託す気持ちでした。早くこの黒っぽい森から、出ていきたいし。

まもちゃんは、木の根元に膝を抱えて座り、いつのまにか、居眠りしたようでした。
眼がさめると、月が、頭のてっぺんに、出ていました。このいまわしい魔女の森でも、月だけは、いつもの、冴え冴えとした天体でした。
まもちゃんがふうと溜息をつくと、溜息の中から出てきたかのように、突然象男が、目の前に立っていました。



つづく


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== おはなし ==

木苺 の誘惑 その3

まもちゃんは、どんどん落っこちてゆきました。
どこへって、うさこの、空っぽの眼窟に開いた、果てしない闇の世界へ、です。

どのくらい落下していたのでしょうか、でんとお尻をぶつけて、まもちゃんは、地面に倒れていました。
なんだ、ここ。ここもやっぱり、森の中?
なんだか、暗ーい森みたい…。立ち上がったまもちゃんの頭上から、声がふってきました。

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あんたはその森から、あたしの目玉を、とりかえしてくるんだよ。

目玉って…どこにあるの?

大魔女の館にさ。取ってくるまで、あんたは帰れないからね。さ、早く、さがしておいで。うさこの大事な目玉を!

まもちゃんは、仕方なく、不気味な感じの森の奥へ、歩き出しました。

確かに、森の奥から、覚えのある、魔法のにおいがしてきます。あんましよくない方の、魔法だなあ、やだなあ…。
仕方なく、まもちゃんは、そっちへ歩き出し、ほどなく、一軒のうちを発見できました。
一見、変哲のない石と木を重ねたさほどおおきくない家なんだけど、どこかが奇妙にねじれた印象の、古びたコテージ。周囲は雑草でいっぱい。いかにも、ヤバい魔女とか、住んでいそう。
そして、あたりは、濃いもやのように、強い異国のスパイスと、むっとくるくらいあまーいお菓子らしき香りがたちこめていました。
それから、うちの中からは、なかなかじょうずな、ピアノの音も。
まもちゃんは、屋敷を偵察すべく、そばの木に、一生懸命よじのぼりました。

半分以上しまった窓のすきまから、ピアノをひいている、女の子がちらっと見えます。
あれが魔女かなあ?

目を凝らしていたので、木の下に、だれかいることに、まもちゃんは、きがつかなかったのです。

「あ、かえるだ★」

まもちゃんがはっと見下ろすと、象男が、こちらをみあげて、立っているのでした。

「おいら、トメゴロー。お前,だれ?」
はて、これは、おじさんでしょうか、子供なのでしょうか、年齢がよくわかりません。

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「…まもちゃん」

「何まもちゃん?」
「ただの、まもちゃん」
「苗字も持ってないのかあ」
象男は、あきらかに、バカにしたふうで、鼻をならしました。
「おいらは、マツモト。トメゴローマツモトだ」
まもちゃんは、内心、むっとしました。

   つづく 



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== おはなし ==

木苺の誘惑  その2

さあて、ある時、ままごと森で。
カエルのまもちゃんは、朝から、落ち葉を掃除していました。

なんかさー、最近、よるのうさこを、見かけない気がするの。
まもちゃんもこのごろ、脱走の味がくせになって、遊んでばかりいてさ、うさこの不在に気づくのが、遅れたけれど。もしかして、この前寒かったころから、うさこを見てないかも。
また季節は巡り、森では夏がおわろうとしています。

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そしたらまた、オトモダチのブライアンヘリーさんとこに、遊びに行ったりしちゃおかな♪
楽しく夢見るまもちゃんでしたが。
翌朝、おでかけしようとドアをあけますと、そこに、おひさしぶりのうさこが、ばったりと、倒れていたのでした。

うさこーどうしたのさー。
まもちゃんが(仕方なく)助け起こしてみると、うさこは意識をとりもどしたようでした。

うさこの頭には、なぜか包帯が、ぐるぐる、巻き付けてありました。

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うさこ、ケガしたん?

くんできた水を、うさこに飲ませながら、まもちゃんが尋ねると。
やおら、うさこは、包帯を、ほどき始めました。
嫌な予感がしたまもちゃんは、逃げるより早く、腕をがっしりと、つかまれていました。
ぐいと、うさこの顔が近づいてきて、まもちゃんは驚きます。
うさこの左の顔が。

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左目がなくなっていて、目があったところには、深い深い、からっぽの、闇。

ひぇえぇぇー★

つづく



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